議員報酬削減案の提案理由

議員報酬削減案について、皆様から様々なご意見を頂いております。ここに改めて、議会における提案理由をお示ししたいと思います。私たちはこのような考えから、報酬削減が必要と考えました。ご一読頂けたら幸いです。(総務県民生活委員会の際の提案理由)

 

無所属県民会議の井上 航です。提案者を代表してご説明申し上げます。(失礼して着席させていただきます。)
一昨日の本会議場での議案説明において大方の趣旨はご説明させていただきましたが、より詳細なご審査をいただく委員会審査ですので、ポイントに絞って改めて詳細をご説明申しあげます。
本条例は、新型コロナウィルス感染症の感染拡大等の現下の厳しい社会経済情勢に鑑み、県議会議員の議員報酬及び期末手当の額を減額する特例を定めるための条例の制定するものです。本条例は、公布の日から12月31日まで、議員報酬の月額及び令和2年12月支給の期末手当の双方を100分の20、つまり20%削減する内容となっております。

2月1日に県内で初の陽性者が確認されて以降、日々多くの陽性者が確認され、医療現場の負担は過酷な状況になっている中、他道府県議会や県下市町村議会でも報酬削減などの取組が進められており、私たち埼玉県議会も財源確保のために、報酬等の削減を行うべきではないかと検討を始めました。

本会議場での提案説明でも申し上げましたが、新型コロナウィルス感染症の経済的影響は、東日本大震災と同等かそれ以上と考えられています。そこで我々は、削減の検討を行うにあたり、平成23年に全会一致で成立した「東日本大震災の減額率20%もしくはそれ以上の減額率とすること」をベースにすることにいたしました。
また期間設定については、9月定例会告示日に本定例会において知事から提案のあった特別職の給与月額の減額条例案が示されたことも踏まえ、知事と議会が共に自身の報酬から財源を生み出すことになるため、30%という削減率と12月末までという削減期間をベースに他会派との協議を開始いたしました。

また、協議を行う上で、協議を通して削減幅が縮小しすぎることがないように、会派としては具体的な削減目安を持つ必要もあると考えました。そこで着目したのが「都道府県別の感染者数と報酬削減の取組」です。

新型コロナの陽性者確認件数が多い都道府県は上位から東京、大阪、神奈川、愛知、福岡、埼玉、千葉といった順番で、感染拡大が始まって以降、順番に大きな変動はありません。
その中で、同じ首都圏であり、埼玉と同じく、最大の感染者数が出ている東京都と隣接する千葉県の状況です。
最新(10月7日時点)の数字でも埼玉県 4876名、千葉県 4139名と近似値になっております。
そのうえで、千葉県議会は、6月定例会の時点で議員報酬を10%、令和2年8月1日から令和3年3月31日まで削減しています。その削減額は6,643万2000円です。
この6643万円を削減水準のひとつの目安として考え、削減率を30%とした際に、この金額に近づく期間を算出しました。すると、12月31日まで30%削減した場合、6583万5581円となり、千葉県の数字に最も近づくことになります。
こうした点からも月額報酬30%減を12月末まで、というのを私たちの第一義的な削減の目安と考えました。

その後、様々な協議を行う中で「東日本大震災の減額率を超えない範囲で」また「期末手当の削減を」という声を複数の会派から頂戴しました。

しかし、削減期間を12月末まで20%削減と変更してしまっては、4389万420円と削減幅が減少します。一方、12月支給の期末手当のみ20%削減でも4298万8474円と、こちらも当初念頭に置いた千葉県の拠出金額には届きません。

そこで、月額報酬・期末手当両方を20%削減することについて、協議していただくことに致しました。

各会派内で熱心に協議を重ねていただき、複数の会派からこの提案についてご承諾いただきました。そのおかげで当初に目安とした12月末まで月額報酬を30%削減とした際の6583万5581円を超えて、削減額は8688万8894円と大幅に増額し、より多くの財源確保に繋がる案となりました。

最後に。現在までに新型コロナ対策の財源拠出のために削減等を実施した27都道府県議会で、最も額の大きかったのは青森県の8192万円でした。今回この条例が可決された場合の削減額8688万8894円は、それを抜いて全都道府県で最大の削減額となります。

以上のことから、埼玉県議会はこの機を逃すことなく、感染症対策の一助となる本条例案に御賛同くださるようお願い申し上げて、私の提案説明といたします。